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Sant Salvador

夏の思い出その2

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8月末に1泊で、タラゴナの郊外、サンサルバドールとアル・ベンドレイ
にいってきました。

ところで、この土地とゆかりの人物は誰でしょう?
(・・・なんて、唐突な質問ですが。ヒントは音楽関係)



答えは、作曲家でチェロ奏者のPau Casals(パウ・カザルス)


上の写真は、彼が若いころ、お母さんと兄弟のために建てた別荘で、
今は、カザルス財団ミュージアムになっています。

9才から教会でオルガン奏者になり、23才から国際的な演奏家として
活躍していたので、親孝行も早かった?

お父さんは、いくら音楽が好きでも音楽で身を立てられるとは思わず、
お母さんの懇願により、11才からバルセロナの音楽学校に行かれたとか。
その後、お父さんは彼の活躍をみないうちに他界。
なにせ19世紀の話しなので、成人できたのは11人兄弟のうち4人だけだったり、
階級社会も今よりずっと顕著で、などなど、厳しいエピソードもいっぱいです。


こちらは、
カザルス財団のHP(注:チェロ演奏が流れます)


ミュージアムは、カザルスが子供ころから親しんだこの↓海岸に面して
建っています。

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シッチェスの海岸を、静かにしたような佇まい。



日本でも、カザルスファンは多いので、
数々のドキュメンタリー番組が放映されたり、
書籍も多数発行されていますが、
個人的に今まで一番印象的だったのが、
15年前ぐらいに観た「NHKわが心の旅」かなあ。

画家の安野光雅さんが、カザルスゆかりの地を旅する番組。
「カザルスの海へ」というタイトル。

カザルスの大ファンだという安野さんのコメントや、
風景画が秀逸でした。


関連書籍がこちら。

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小さな海辺の街なのに、世界中からカザルスファンが集まり、
毎年、カザルスゆかりの国際音楽祭が開催されるようです。


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こちらの旗が、その音楽祭のお知らせポスターの1つ。
カザルスの似顔絵ロゴが、ちょっとシンプソン?

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カザルスが建てた海辺の別荘は、とても上品で、
暑い8月でもバラが咲きほこっていました。

庭園部分は、公園として無料で解放されています。

ミュージアムに併設したカフェ。
昼食メニューも安く地元の人たちと
海水浴客で賑わっていました。

壁面に楽譜。きれいな庭がみえていい空間。
内部を見学したあと、あんまりにも暑くて
歩き気力がなかったので、ここでランチを食べました。

しかし、カフェは外部委託だそうで、
オーナーのセンスが悪いのか、
地元の海水浴客にあわせてるのか、
チャラチャラした中南米音楽がBGMが大音量で流れていて、
カザルスの余韻にひたりたい人たちには、厳しい雰囲気。
別にバッハや鳥の歌じゃなくてもいいんだけれど、
小さいことながら、残念だなあ〜。


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トロピカルな花とバラがミックスしている庭園。


ミュージアム内部について話を戻すと・・・

ミュージアムの展示は、オーディオビジュアルがとても効果的で、
お父さんがへちま?のような果物をつかってつくってくれた
最初のチェロの他、教会のオルガン奏者で合唱団や音楽教師をしていた
お父さんと子供のころに書いた楽譜(ものすごい立派)に始まり、
国連の映像まで、見所満載です。


圧巻は、彼のチェロが飾ってあるサロン(応接間)。
コンサートホールのようなかなり広い部屋の椅子に座って、
等身大に映し出された、バッハを演奏するカザルスの映像が楽しめます。

たしか、これだったかな?





実際にそこで本人が演奏していた空間で観ると、感無量ですね。
あの部屋で、もっといろんな演奏を聴きたかった!


その他、年代順にいろんな資料が展示されているのですが、
国連の他、ホワイトハウスでの演奏会の写真が良かったなあ。

ケネディ夫妻や大勢のゲストの前で演奏したカザルスが、
拍手に答えてお辞儀している後ろ姿。
すごい瞬間の、とても素晴らしい写真でした。


シッチェスやタラゴナに行くことはあっても、
サンサルバドールは、いつも通過してたので、
やっといけて良かった。

この日は、せっかくなので、サンサルバドールから
8キロ内陸に入ったEl Vedrell(アルベンドレイ)に泊まりました。

アルベンドレイには、カザルスの生家の他、
ゆかりの教会、墓地があります。

(つづく)
by nas-asa | 2011-09-09 20:52 | カタルーニヤ

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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