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Via Catalana

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もう1ヶ月近く前のことですが、
2013年9月11日は、また特別な1日になりました。

昨年の150万人の人たちがバルセロナを埋め尽くす
デモというよりパレードもすごかったけれど、
今年は、カタルーニャ独立への道
「VIA CATALANA」
があり、これはこれで歴史的瞬間でした。



上の写真は、その「もう1つの9.11」とよばれるDiada
(カタルーニャ民族の日)に、
カタルーニャ旗がかかげられたカサミラ。

アメリカ人観光客の女の子たちも
(そのへんのお店で独立推進旗を購入したらしい)
「きれいだね」といって、眺めていました。







VIA CATALANAの詳細はこちら





これは、北はフランス国境、南はバレンシア州との境まで(純粋な
カタルーニャ州のエリア)人々が手をつないで人間の鎖をつくるというもので、
地元メディアの協力のもと、3万人のボランティア、事前にネットで場所を決めて
参加を申し込んだ人たちが50万人、当日、とび入りで参加した人たちが
結局さらに100万人という規模でした。


この運動は、旧ソ連からエストニアなどが独立したときにも実施されたようで、
その道のプロも世界各地からアドバイザーとして招聘して、混乱がないように
ものすごくきちんと計画されていました。(高速道路や幹線道路なども封鎖されたので)

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私たちは、引っ越しで疲れていたので、
前日までは、「家でテレビで応援するだけにしようか?」
となさけないことをいっていましたが、ギリギリになって
「そうだ、カンプノウへいこう!」と思い立ち、
午後からいそいでいってみました。


カタルーニャ軍が1714年にブルボン軍(フランス、スペイン)に敗退して
それ以来ず〜っと独立の機会をうかがっていることにちなんで、
17:14に鎖をつくる(ようするに、全員が手をつなぐ)という段取りだったので、
1時間ぐらい前にカンプノウに行ってみると・・・


スタジアムの内部はもういっぱいでしたが、外側はまだまだ人出が必要で、
ちょうどいいかんじで輪に入りました。

イニェスタやシャビなどのポスターがあって、子供たちもたくさん。
乳母車やペット連れの老若男女多数。まっている間は、
子供たちはスケボーにのったり、サッカーしたり・・・と、
とてもいい雰囲気。


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手をつないでからぐ〜っと大きく位置を変えたりして、日本人的には
「はないちもんめ」を思い出してしまいましたが(?)みんな嬉しそう。



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上は、歴史的なカタルーニャ旗がかかげられたお役所の建物。



日本では、ちょっとしか報道されませんでしたが、
CNN, BBC, The Guardian、ルモンド、ドイツの全国紙など、
世界中でトップニュースになっていました。

変わって、スペインのメディアは・・・
スペインの今の与党はカタルーニャ独立阻止が最重要課題なので、
翌日の保守系の新聞(例えば、ABCとかEl Mundo等)は
「我々は絶対に分裂しない」的な見出しでした。


カタルーニャ人でも70代以上の人たちは、
市民戦争とその後の独裁政権がどれだけ恐ろしかったか・・・
まだまだ記憶が肌にしみ込んでいるので、
軽々と独立!とはいえない人も多く、
そして、実際問題これから長い道のりですが、
もう後戻りできないところに来ているな・・・と、
こちらにいるとヒシヒシと感じられます。



先日、ムンタダスの展覧会のオープニングで、
70代のバルセロナを代表する空間デザイナー(美術館の展示デザインの大御所)
のエンリックさんと話したときに、
彼はしみじみと

「80年代の民主化移行期のあと、プラドやレイナソフィアをはじめスペイン全土の
主な美術館での仕事、そして、スペイン文化庁との仕事もたくさんしてきたけれど、
我々にはもう独立しか道は残されていないと思う・・・」

とNaspleに語っていました。


でも、それにいたるまでの色々なプロセスを想像すると、
心から恐ろしいそうです。

スペイン全体の人たちが悪いわけではないけれど、
今のPPという与党政権のなかには、
驚くべきことに、まだまだフランコに傾倒する人も残っていて、
まったくフランコ時代を反省していない人が大半なこと・・・なども、
ドイツとは200%異なるようです。

(もちろん、ヒットラーとフランコが違うとしても、
今でも独裁政権時代に弾圧された10万人もの人たちが行方不明で、
遺族は遺骨を探したり、その件を追求することもできない)


一見、のんびりして平和そうなバルセロナも、
徐々に激動の時代に入りつつあるのかもしれません。



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最近では、上のバルコニーのように、
カタルーニャの旗(4本の縞模様)の上に、星のついた
独立推進旗を重ねているお宅が増えてます。


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Diadaの日は、色んなお菓子屋さんが、カタルーニャ旗をモチーフにした
クッキーやケーキをつくって販売していました。
by nas-asa | 2013-10-09 17:02 | カタルーニヤ

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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