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Paris 2007 -2


エリセ-キアロスタミ往復書筒展


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去年からずっと楽しみにしていた、
ビクトル・エリセ監督とアッバス・キアロスタミ監督の
展覧会
完結編を見に、ポンピドーセンターへ。
上は、同センターの会場付近に貼ってあったポスター。
エリセ監督の「マルメロの陽光」で主人公だった、
画家アントニオ・ロペスによる、マドリードの風景画が使われています。
グランビア付近ですが、本当に写真みたい。

ポスターの下半分は
キアロスタミ作品に登場するイランの風景写真。
お隣で開催されていたジャコメッティ展のものと並んでます。



この日は、念願の展覧会に行く前に、
ホテルを出て、ゆっくり外で朝食をとることに。

高級ホテルは別として、
パリの普通のホテルは、だいたい地下の
(Naspleのように、まるでカタコンブとはいわないけれど)
古いワインセラー跡か?という洞窟のような朝食ルーム
に案内されることがほとんど。
つまり、外も見えないし、あんまり爽やかといはいえず、
その上、最近のホテルは朝食込み料金ではないので、
街角のカフェで外を見ながら朝食をとるほうがおすすめかも。

カフェだと、地元の人たちの朝の様子や、道行く人々、
風景がゆっくり眺められます。



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パリだからといって、すべてのカフェのクロワッサンが美味しいわけじゃない
のも体験済みですが(笑)、このカフェのクロワッサンは心から美味しかった!

し、しかし、カフェオレは高い! 特にテラスで飲むと高いんですが、
薄くってほとんど牛乳の味しかしないのに、4.5ユーロ以上。(740円以上)
もちろん有名店では、これよりずっと高いです。

というわけで、これ以降はひたすら小さいサイズのマキアット、
(スペインだとコルタード)にあたる「ノワゼット」攻撃で、やりすごすことに。
これだと、2.5ユーロぐらい。しかも、もっと味がして美味しいです。
それでもバルセロナの約2倍。

ところで、パリのビストロなどで出て来る水道水は、
東京よりずっとカルキ臭く、
いつもミネラルウォーターしか飲んでない舌には、
(バルセロナの水道水は、飲めないんです)
衝撃的な水道水の味。
でも、周りを見渡すと地元の人々は皆、堂々と飲んでる。
う〜む。

そういう私たちも、時間の経過とともにパリの物価高が
じわじわ効いてくると、カルキ臭さもあんまり気にならなくなり、
3日めには積極的に「あのお水ください...」と頼んでいました。(笑)






と話が脱線しました。


エリセーキアロスタミ展は、あちこちの都市を巡回する間に
両監督による交換ビデオレターの制作が続いていたので、
その後の展開と、いったいどう完結するのか、が楽しみでした。





..........で見終えた感想は、ボブ・ディランの有名な歌詞
「答えは風のなか」
を思わせる詩的な展開...というかんじ。
詳細は見ていない方のために省きます。

個人的には、エリセ監督の、
ホセさんという、スペインのセゴビア地方の羊飼いに密着映像の回が
良かったです。もちろん、ビデオ書筒シリーズ全体を通してだと、
第一回目の「マルメロの木のその後と、アントニオ・ロペス氏のお孫さんたちの
映像」が一番好きですが。

その日のポンピドーの来場者のうちの多くの人たちは
一直線に「ジャコメッティ展」を目指していて、
エリセーキアロスタミの会場より、隣のジャコメッティ展のほうが盛況でした。


でも、このエリセーキアロスタミ展のような、映画をテーマにした展覧会というだけでなく、
「深い映像と生きた芸術を楽しむ、画期的な展示」は希少価値なので、
近日中にパリに行く予定のある方は、ぜひいらしてみてください。
ほんとにエポックメーキングとはこういうことをいうんでは?!と思います。

1月まで開催中。

ただし、展示品をざっと眺める展覧会じゃなく、
ショートフィルムを何本が鑑賞するというスタイルになるので、
3時間ぐらい時間をとられてもいい心づもりでいかないと、
非常にもったいないです。
特にエリセ監督の自伝的映画2作品、10ミニッツオールダーと
モンテ・ルージュの、美しくせつないモノクローム映像は必見!!

ビクトル・エリセ監督は、静謐な映像も有名ですが、
音に対する繊細な感覚も天才的。穏やかな話し方と裏腹に、
繊細すぎて周りの人たちは大変だと思います。(たぶん)




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その日のパリは、ご覧のように曇り空。
でも、複雑で何があるかわからない不穏な曇り空も、
ある意味パリらしいですね。

竣工当時は、ハイテクすぎて物議を醸し出したポンピドーセンター。
斬新だったこの建物(お台場のフジテレビと同じイギリスの
リチャード・ロジャーズがレンゾピアノと一緒につくったもの)も、
30周年を迎え、だいぶ傷みが目立ちます。(パイプのメンテナンスたいへんそう〜)

でも、ここからのパリの眺め、初めて来た時と同じように、
今でもとても好きです。



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ところで、
昔はポンピドーのブックショップがとても進んでいるように
見えましたが、今はほとんどバルセロナと変わらない品揃え。
世界中のアート/デザインブックショップで、
本の売れ筋が統一されてきている影響もあるけれど、
バルセロナも、建築やデザインの書籍/雑誌の品揃えが
なかなかいいのかもしれません。

でも、近年パリもバルセロナもデザインや建築のセクションには、
「小さなスペースに大きなアイディアを!」
とか、「極小住宅」というようなタイトルの本が並んでいます。
やっぱり、住宅難の先進国各都市。せちがらさが漂いますね。


★★★

ジャコメッティ展も、せっかくなので入ってきました。

彼のアトリエが再現されていたり、とても力のこもった展示でした。
個人的に一番面白かったのは、ジャコメッティ氏を掲載した
世界中のメディアのインタビュー記事や、
彼本人の肖像画や写真などを集めたコーナー。
作品自体はすごいのかもしれませんが、私のような素人には
全部同じ手法に見えてしまって、大量に集めてあっても
ありがたみが少なかったような。

いずれにしても、ジャコメッティ氏は、地元が世界に誇る芸術家だということは、
会場の雰囲気から伝わってきました。





秋の花粉症と戦いつつ、旅行記続きます。(涙目)
鼻水がおさまっても、喉の奥がかゆい(イガイガする状態の強くなったような)
と、物事に集中できないことがよーくわかりました。
by nas-asa | 2007-12-05 20:38 |

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


by nas-asa