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Paris 2007 -4


赤いアクセントが効果的な、建築・遺産博物館


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今度のパリ旅行のもう1つのハイライトは、
シャイヨー宮にある建築・遺産博物館でした。
ここはリニューアルに5年も費やして、この秋再オープンしたばかり。
写真は、博物館の書店からカフェを見たところ。中にNaspleがいるんですが、
わかるでしょうか?  
例の「ウォーリーを探せ」みたいですね。
西洋人ばかりだと目立たず保護色になってます(笑)




このミュージアム開館は、バルセロナでも話題になり、
当地の新聞にも大御所建築家たち(妹島さんや坂さんも)と
サルコジさんが並んでいる写真などが大々的に掲載されていました。

実際に足を運んでみた印象は、
「す、すごい!」の一言につきます。

今のところ、これ以上に建築や歴史的建造物の楽しさを
伝える博物館って、世界を見渡しても他にないような。
装飾デザインミュージアムは、ロンドンのV&Aをはじめ
いいところが多数ありますが。

入ってすぐに、ロマネスクから始まり(実物大のレプリカで、
こういう文化遺産を型にとって残すというのも、フランスの伝統的な
技術の1つだそうですが、レプリカというのが信じられないほど精巧)
中世の主な建造物のハイライトが並んでいます。

上の階がコンテンポラリーセクションになっていて、
過去の偉大な歴史の延長線上に、現在から未来がつながる
という印象をいやでも与えます。

ロマネスクが大好きなので、入り口付近から楽しくてワクワク。

この展示は、パリにいながらにして、フランス各地の主な建造物の
ポイントがわかるので、いつか現地で本物を見てみたいと
いう気持ちになります。

バルセロナのカタルーニャ美術館のロマネスクセクションも
素晴らしいですが、こちらは本物を教会からはがして
展示のために運んできてしまったので、
もともとの山奥の教会にはレブリカだけ。
どちらがいいんでしょうか?
教会には、本物の祭壇画があったほうがいいんでは、
と、私は思いますが。

中世の建築コーナーの奥に、子供達が遊べるスペースと
レゴのようなおもちゃで作った世界の有名建築が展示されていました。

うちのご近所の、サグラダファミリア教会の完成予想模型が
どーんと真ん中に展示されていました。キラキラ光ってきれいです。

この部品、正確にはレゴじゃなくて、メタルでネジでとめていくタイプの
オモチャです。
なんていうんですか?


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建築遊び中のパリの子供達。彼らの服のカラースキームがシックです。
モノトーンか、オリーブグリーン、茶色。


私の大昔の上司、建築・都市ワークショップの鈴木明さんは、
新聞紙でシェルターをつくったり、
建築遊びワークショップを各地で積極的に開催されてるので、
この博物館はワークショップ候補地として最高かも。


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上階のコンテポラリーコーナーの入り口は、これまたカッコイイ。

ロンドンのクリスタルパレスの模型と、窓の向こうにはエッフェル塔の借景。
19世紀の鉄骨構造つながりですね。
壁のモニターには、都市のムーブメントを描いたビデオ映像。
どこか、ジャック・タチ風でかわいく、おもしろく、オシャレ。

ここで入り口を注目していると、
入って来て、思わずあっ! と、
驚いて、そのあと嬉しそうな表情になる人たちが多数。

コンテンポラリー階の目玉は、ル・コルビュジエのマルセイユにある
集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」の再現スペース。
モデルルームのように中に入って楽しめます。

誰かの家のように、玄関マットでうんと足をふいてから入るなど、
敬意をあらわす地元の人たちが多くて楽しい。
入り口いにる係の女性も、
「こんにちわ!」とか「さよなら!」
等、来場者に挨拶してました。

この階は、今も現役で大活躍中の建築家の模型等が
たくさん展示してあるので、本当は撮影不可。
こっそり撮ってしまいました。
(でも、問題ない場所だけね....。)

ジャン・ヌーベルのアラブ文化研究所の窓のサンプルとか
色々興味深いものがいっぱいです。


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館内の展示は、フランス語、英語、スペイン語表記。


モニターからは、有名建築家の仕事に関するインタビュー映像が
流れていたり、ゆっくり何度もきたくなります。


模型や図面だけではない、
建築家の考え方や背景に気軽に触れる機会があるって
いいですね。
ここの展示に参加できる建築家は、
すでに「殿堂入り」っていうかんじでしょうか。

ラカトン&バサルなどのインタビューのモニターを見ていると、
「あいかわらず建築家は黒い服の人ばっかり〜」
とNasple。黒い服が好きなので、つい反応してます。
金髪や明るい髪の人は、真っ黒い服でも地味にならず
かっこいいです。やっぱりデザイナーや建築家の
仕事着は黒が基本で、たぶん楽なんでしょうね。


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最後の「21世紀、これから....」というコーナーには、
フランスで今建設中のプロジェクトが展示され、無印のCDプレーヤー
(壁掛けタイプ)に建築家の説明が入っていて、
ききたい人がヒモをひくようになっていました。

その中には、横浜ターミナルや、伊東さんの「ぐりんぐりん」
にそっくりなプロジェクトとかあるんですけど、どうなんでしょうか?
垂直庭園っていうんですか、壁面に植栽(緑)を植えるタイプも
多いような。

先進国の建築家の間では、これからますます
「自然とテクノロジー」、「ローテクとハイテクの調和」なんかが
テーマになるので、どうしても洋の東西を超えて
建築も似てしまうのかなあ....と、漠然と思いました。


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あちこち、展示や内装に赤がうまく使われていて、きれいだったせいか
カフェでも、つい赤いミネラルウォーターの瓶をピックアップしてしまいました。
(影響されやすいんです。笑)
でも、地元らしき人々も後ろでメニューの値段を見てブツブツいってたけれど、
パリのミュージアムの食べ物の価格はやたらに高い!
しかも、シーザーサラダとか色々あるんですが、全部プラスチックの
使い捨て容器に入っているのも、なんとなく悲しい。ゴミも出るし
高くても普通の皿にもってくれるたほうが嬉しいような。

というわけで、ここではサンドイッチだけでお茶を濁しました。
ちなみに、サンドイッチ2本入りワンセットと、ミネラルウォーター、
白ワイングラス一杯で、3000円以上。
円に計算するな!と言われそうですけど、
わかりやすいので、つい。

かけそばじゃなくて、ワンセットのサンドイッチを二人で
分けてしまいました。(涙)
でも、マヨネーズベースと、バターベースで
2種類味がそれぞれ際立ち、美味しかったです。

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トイレの前では、マスターピースの椅子のミニチュアが展示販売されてるのも
なかなか楽しい。
大好きなジャスパー・モリソンのが2つあるし、ワンダースやマシュマロチェアーなど
欲しいのが10ケぐらい。でも、ミニチュアも高くて1つ数万円以上。
まとめて一気に〜のオトナ買いは、無理ですね。



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リニューアルしたこの博物館、なんとなくジャック・タチも気に入りそうです。


同館には、有名なオデオン座付近のLe Moniteurという
建築書店の支店が入っています。

いつかこの書店で販売されるような本をつくるのが
長年の夢だったんですが、
な、なんと私たちの編集した小さい本、
「Asian Interior Design(独teNeus社刊)」
を、書棚に発見。う、うれしい。(しみじみ)
ご協力いただいた関係者の皆様ありがとうございました。
もっとがんばって、いい書籍をつくりたくなります。

Le Moniteurは、簡単にいうと
パリの南洋堂みたいなところですけど、
欧州でも建築書店では指折りですね。
日本の建築誌も多数発売中。


★★★

博物館を出て、エッフェル塔の方に降りて行きました。
ここに新しく水族館と娯楽施設ができて、
中にロンドン発のあやしい和食レストラン
OZUが入っているようです。


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旗についてる写真を見ると、
鎧かぶとがあったり、ものすごいエキゾチックな雰囲気。
これは、クロサワさんのほうがあってるんじゃあ?
きっとクロサワにできない諸事情があったにしても...う〜ん。
シャイヨ宮には、以前シネマテークがあって、フランスで一番最初に
小津や黒沢の映画が上映された場所としても知られてるので
ゆかりのある場所だからよけいに悲しいかも。

小津さんも、これを見たらガッカリするような気がしましたが、
どうでしょうか?


それにしても、一度では全然時間がたりなかったこの博物館。
HPのバーチャル映像もすごい。

エッフェル塔の脚の間からスタートして、ぐるっと付近を回って入り口まで連れて
行ってくれます。museeをクリック。
図書館も自然光が入って気持ちがいいそうです。
by nas-asa | 2007-12-09 20:14 |

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


by nas-asa