Rafael Moneo
2008年 06月 20日
やっと!
現代建築家8人の設計戦略と理論の探求
ラファエル・モネオ著
A5変形判/420頁
定価:3,500円
長いことかかって、まるごと1冊翻訳した本
(正確にはa+uの別冊)が発行されました。
スペインを代表するというより、現在世界でも有数の大御所建築家、
ラファエル・モネオの、ハーバード大学(マスター)での
講義録を中心にまとめられた本です。
詳細
ご協力いただいたa+uの編集者で、現在パリ在住の北澤愛さんに
たいへんお世話になりました。「ありがとうございました!」
モネオ氏は、世界の建築賞(プリツカー、RIBAゴールドメダル等)
を総なめ。マドリードのアトーチャ駅、ストックホルム美術館、
最近ではプラド美術館の増築も話題になっています。
バルセロナでは、彼が設計した「L'illa」
というショッピング・モールにお世話になっている
方が多いかも。
同書は、彼と同時代の8人の建築家(先輩やライバル、および後輩)
を題材にして行ったユニークな講義録。
当然、ハーバードでは英語で講義を行っていますが、
それにプラス、後年マドリードで行った特別講義も含め
スペイン語で執筆されています。
そのオリジナル本は、actar社のスペイン語版で、
それをもとにMIT出版から英語版が出ています。
スペイン語版も英語版も、紙質と習慣(読者のニーズ)の違いか、
ずっしりと厚くて重いんですが、日本語版は軽くて丈夫そう。
装丁は、日本語版のほうが個人的には好きです。
モネオ氏が実際に講義している雰囲気を出すように、
なるべくわかりやすい日本語に訳そうと心がけましたが、
モネオ氏のスペイン語はどうしてもペダンチック(つまり学者っぽい)
でまわりくどいところも多々あり、さすがにオヤジギャクはないものの
「このカ所冗談です。念のため」と、思わず付け加えたくなるところや、
言葉がちょっとたりなくてインタビューだったら、
「といいますと?」と、その心をききたくなる部分も
正直ありました。
でも、図版も多数掲載されているので、そのへんは
カバーされていればといいなあと思います。
とにかく、欧州の教養豊かな建築家による、
現代建築史への新しいアプローチをうながす
意欲的な(希有な)本ですので、
これから建築家を目指す若い方たちに
ぜひ読んでいただきたいです。
歴史に残る建築家の仕事とは?必要な素養とは?
その人生とは?
など、色々考えさせれる内容です。
★以下、余談です。
日本語版には、新たに書き下ろしの序文が追加され、
最後に「ソン・ペンティナドにて、ラファエル・モネオ」
で締めくくられています。
で、このソン・ペンティナドがどこか知っている人は、
かなりのモネオ通です。
私はこのソン・ペンティナドがどこか調べるだけでも
時間がかかってしまい、
結局、編集部からご本人にきいてもらったところ、
マヨルカ島の彼の「別荘の屋号」でした。
ソンという冠詞から、
マヨルカかそのへんの島というのはわかったし、
もしかして別荘の名前?とは思いましたが、
それならそうと、はじめからそういってほしかったです(笑)
それに、日本向けなら「マヨルカにて」だけでいいのになあ、
と正直思いましたが、どうでしょうか?
本には何もこの場所の説明は入っていないので、
ちょっとオマケ情報(愚痴?)でした。
by nas-asa
| 2008-06-20 19:12
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