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Choque Cultural


いろいろなカルチャーショック

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もう12月ですね。
いつも海外からクリスマスカードが届きはじめたあと、
急いでカードを用意してたので、
今年こそは早めに・・と思いつつ、すでに出遅れてます。

上の写真は、11月初旬の「バルセロネッタの満月」
コロンブスの船が、アメリカ大陸発見から戻った港のすぐそばです。

ごぞんじかと思いますが、コロンブスはもともと
黄金の国ジパング(日本)を目指して、南スペインから出航したそうです。
それから500年以上たっても、スペインと日本の精神的な距離は、
まだ遠いなあと思うことがたくさん。



日本に住んでいたころは、カルチャーショックといえば、
東京でみたこともないこと、経験したこともないことに出会って
とまどうのがカルチャーショックだと思っていました。
でも、長年欧州にいてこちらの人たちの常識のなかで生きていると、
欧州で出会う目新しいものより、
彼らの日本にたいする「突拍子もない」誤解や意見などに
驚く体験のほうが、カルチャーショックになりつつあります。

で、いくら説明しても思い込みが激しくて
きいてもらえなかったり、ナショナリスタだ!といわれたり。



東京国際映画祭に参加するために、
初来日したホセルイス・ゲリン監督とも
彼がこちらにもどってすぐNaspleと3人で会ったのですが、
日本の印象をきいたら、まさに大混乱してました。

行く前に、冗談で
Lost in translationにならないでね!
といったら、

「あの映画の主人公みたいな無能じゃないから大丈夫だよ」
といってましたが・・・


やっぱり、日本語も英語もできなくて
予備知識があんまりない人には、東京はインパクトが強すぎたようです。

小津の映画のころからすごく変わってしまった・・・そうで、
それはそうなんだけど(バルセロナだって変わってるし)
でもライフスタイルの核となる部分で、
あの当時と変わってないこともたくさんあるわけで、
そういうのはもっと長く滞在しないとわかりにくいですね。

京都では、バルセロナに1年ほど滞在していた建築家で左官職人の
森田一弥さんにアテンドしていただいたおかげで、
「京都御所の茶室に暮らしたい」(茶室は無理ですよね、笑)
とすごく気に入っていたし、
来年秋の紅葉の時期に撮影しにいきたいそうです。

でも、東京はというと、
映画祭のスタッフも感じがよく(観客の反応もよく)
予想以上にきれいな女性がたっくさんいて
食べ物も美味しかったそうですが、

全体の印象は、


「No hay vida cotidiana. (日常生活がない)」


だそうで、な、何ですとおお?と、私たちは心からビックリ。
アメリカのダウンタウン(いわゆるオフィス街)
のようにみえたんでしょうか?

東京には空がない・・で有名な高村光太郎の小説みたい?
しかも、それをいったら、東京には島も山も高原もある、と
いい返したいような。

いくらメタファー(80年代の響き?)だとしても、
ちょっとね。


たぶん、都心(六本木ヒルズや渋谷)が中心の短い滞在で
混乱してるんだと思います。
が、吉祥寺にも北鎌倉にもいってるし・・・
う〜ん。もちろん、いろんな角度から反論しましたよ。

まあ、東京はつかみどころがない都市なことはたしかです。
洋風なものは欧州の人にとっては、「アメリカっぽい」だけに
みえるみたいだし。


彼なら、いつかヴェンダースの「東京画」以上の
東京の映像がとれるのでは?と期待した私たちが甘かった。
やっぱり、完璧な異文化に接する時は、
自分の眼でみることも大事だけれど、ある程度の予備知識が必要なようです。

こちらの結論としては、

彼には、今のところ、別のテーマでがんばってもらいたいです。




現在、バルセロナ出身の女性監督、
イサベル・クシェット(日本ではコイシェと表記されがち)
も、東京で撮影中。

日本に興味を持つ人が増えるのは嬉しい・・・けれど
複雑な今日この頃です。
(彼女は日本の女の子に人気もあるし、センスもいいほうですが、
東京が舞台だと、どうしても異質な部分が強調されそうで・・・)

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上は、バルセロナの書店のショーウィンドー。
夏目漱石の表紙がみえるでしょうか?

何故か、漱石の「坊ちゃん」が今年度のカタルニヤの文学賞を受賞。
翻訳がよかった、ってことですし、村上春樹が人気なので
ルーツを探ってどんどん日本文学の翻訳が注目されるのは喜ばしい。
でも、どうしても不思議に思ってしまうのは、
なんで今頃?ということ。

とにかく、その賞の影響もあり、
「坊ちゃん」は、カタラン(カタルーニャ語)版と、スペイン語版が
同時発売。
それぞれ「ぞなもし」などの松山弁の箇所など、どう訳してるか
などは、興味津々です。



日本はこちらの人たちにとっては、未知の国。
まだまだ「発見」の対象ですね。
by nas-asa | 2008-12-02 04:44 | 生活

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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