Shohei Imamura


今村昌平監督、お疲れさまでした。

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ここのところ、俳優の岡田真澄さん、ロシア語通訳/作家の米原万里さん、
今村昌平監督が次々と亡くなりました。




米原さんは、最近初の小説が文学賞を受賞されたり、
これからの活躍が楽しみだった方で、
とても残念です。私も彼女の随筆のファンです。
今村昌平監督は、私個人は面識がありませんが、
身内に学生時代から親しかった人達がいるいせいで、
なんとなく勝手に身近に感じていた方です。
一度、有楽町に「カンゾー先生」の試写会に行った時に、
取材されているのをお見かけしたことがあります。
今村監督は、小津安二郎監督の助手をされていたこともあるそうで、
その反動でか、もっとはちゃめちゃに人間くさい、庶民、それもどん底の人々の
エネルギーや暖かさを主題にされていたように見えます。
私も欧州にくるまでは、それほどたくさんの作品を見た事がなく、
どちらかというと、ジャック・タチの「僕のおじさん」系の映画が好きだったので、
どうも濃すぎるかな...という印象が強かったのかもしれません。
でも、バルセロナでは「黒い雨」がすごく話題になり、こちらの映画館で拝見してから
一気に印象が変わりました。
今でも、日本映画では、リドリー・スコットのブラック・レインじゃないほうの、
あの黒い雨がいい映画だね...という人が当地では多いようです。

カンヌで最高賞を2度受賞しているだけでなく、アメリカではあんまり受けなかったのに、
欧州では(もしかして日本より)、高く評価されていたという点も興味深いです。

「楢山節考」とか、「うなぎ」、「復しゅうするは我にあり」等が特に有名ですけれど、
淡々として美しい
「黒い雨」(すーちゃんこと、田中好子さんがすごく光ってます)と、それよりかなり初期の、
在日韓国人の少女の日記をもとにした「にあんちゃん」が個人的には一番好きです。

にあんちゃんは、二番目のお兄さんという意味。佐賀の炭坑で両親を亡くした子供達が
たくましく生きるお話ですね。でも、全ての作品に独特のユーモアと情熱あって、
無表情で何を考えているかわからないとか、冷たそうと誤解されがちな、
日本人の意外な面を海外に伝えていると思います。

こちらの主な新聞にも訃報が掲載されていましたが、イギリスのGuardian紙のものが、
とても心がこもっていました。タイトルは、
Film director of the Japanese new wave who championed the lower classes

http://film.guardian.co.uk/news/story/0,,1787242,00.html

イギリスのメディアは、第二次世界大戦の日本の戦争責任などについては、
ものすごく(しつこいぐらい)厳しい反面、優れた人々/事項に対しては、何人だろうと賞賛する姿勢が徹底していて、ある意味とてもフェアーなので、イギリスの高い水準のジャーナリズムは素晴らしいと認めざるをえません。(実際に暮らしてみて、英国事情で色々文句がある点はたくさんあるとしても.....)もちろん、国民のかなりの%の人たちは、その恩恵より、サンとかデイリーミラーなどのタブロイド紙しか読まない場合が多いのも現実ですが。
少なくても、ガーディアンのシンプルかつ深い記事を読む度に、英語が多少でも分かって良かったなあと思います。英語うんぬんだけでなく、いい記事のモデルとしても素晴らしいです。

今村さんはカンヌの授賞式には一度も出席されなかったらしいですが、エジンバラ映画祭にはいらしていたことなどがこの記事でわかりました。バスター・キートンのように、真面目な顔をして冗談を言うタイプだった...等とも書いてありました。

ついでに朝鮮日報の記事も添付します。イギリスの記事とはまた違った視点ですが、こちらも暖かいです。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/05/31/20060531000027.html


来世や死後の世界のことは全くわかりませんが、アントニオ・タブッキさんが言うように、
がんばった方の人生の軌跡や作品は、永遠に生き残ると思うし、
またそうであってほしい、です。
それから、ヘンゼルとグレーテルのお話の中で天国のおじいさん、おばあさんが、
孫達に語る
「あなたたちに思い出してもらえる限り、私たちは生き続けているんだよ」
というセリフも良く知られてますが、これもできれば信じたいなあと思います。
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by nas-asa | 2006-06-05 05:12 | 映画・音楽 | Trackback | Comments(0)

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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