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Landscape Architect


エリアス・トレスさんからのハガキ


イビサ出身、バルセロナを拠点に活躍するE.トレスさんは、私が最も尊敬する建築家の一人。先日、お中元ではなく、ご無沙汰のお詫びに今年発行された(私たちが編集した)中国デザインの本をお送りしたところ、お礼のハガキをくださいました。
モノクロームの自作プロジェクトの絵はがき。
(新市街ができつつある、ディアゴナル・マル、フォーラムエリアにあるこのソーラーシステムの詳細は、ESCOFET社の日本語ページをご覧ください。
http://playscapedesign.cocolognifty.com/escofetjapan/cat5963040/index.html)
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とても、いい写真です。裏側の文面は、たくさん小さい文字を図面に書いてきたんだろうなーと思わせる、建築家らしいキッチリとした細かい文字。文字列はもちろん水平です。


思えば彼は、私が初めて出会ったバルセロナで活躍する建築家。89年に大阪花博のフォリーのプロジェクトのプレゼンで初来日した際に、白金の都ホテルにお迎えにいったのが初対面でした。彼にとっても、初めてちゃんと口を聞いた東京在住の日本人第一号が私だったとか。こちらに来たばかりのころは、なんだかんだ一人で大変だろうと気を使っていただき、クリスマスにも親しい友人達だけの夕食会に呼んでもらったり、事務所のスタッフを紹介してくれたり等とてもお世話になりました。自分も「イビサ島のような近所?から来ても、バルセロナの社会の中に入って行くのに苦労したから…」と。
日本では、熊本県立博物館の別館ぐらいしかプロジェクトは手がけていないので、知る人ぞ知る存在ですが、こちらでは大活躍の建築家、というよりランドスケープアーキテクト。(つまり、公園や環境デザインのプロジェクトも多い)グエル公園や古い建物(マヨルカのカテドラル等)の修復もたくさん手がけています。バルセロナではカタルーニャ広場のデパート、エルコルテの外観修復、(ださいクライアントで大変だったとか。笑)、黄色い足のついたバス停、広告塔、外灯などあちこちに彼の事務所(ラペーニャ&トレス)の作品が点在しています。

初来日の時のエリアス氏は、それはそれは勢力的で、東京の建築物を見に行くのはもちろん、成田から到着された日の夜でさえ、他の建築家や私の上司たちとしゃぶしゃぶを青山で食べて、そのまま、首都高を車で(他の建築家といっしょに)一回りしたり、帰る当日も南洋堂やGA等の建築系書店に行ったり。青山のデザイナーブティック(ヨージヤマモトとかコムデギャルソン等など)を回った時は、案内している私も面白かったです。その時もたくさんごちそうになったような。 バランス感覚も優れているものの、豪快な大らかさと繊細な細かさの振り子の幅が広く、イッセイミヤケのシャツを購入する時に、1センチ幅と5ミリ幅のストライプのシャツ(白地にブルーでかなり似ている)を握りしめ、どちらがいいと思う?と聞かれて、困った覚えもあります。(その後、別の機会に、修学院と桂離宮どう違うの?と聞かれて、庭と建物の関係がどうのこうのといってお茶を濁しました。)
その後、こちらに暮らすようになって、バルセロナの(ある一定の)人たちの「細かさ」はよーくわかるようになりました。Naspleもおサイフの中や引き出しの中がものすごい整頓されてきれいです。
トレス氏のハガキは、「中国で200戸の集合住宅のプロジェクトをやった、でも ha sido desastre/最悪な結果に終わった…続く」
という感じで終わっていました。でバカンス前に時間つくってご飯でも食べよう!とも書いてあったので、どれだけdesastre(最悪とか、完璧な失敗)だったか、興味津々。今度お会いできたら聞いてみないと。残念なら秋になりそうです。とはいえ、建築はもちろん、音楽やファッション、美術、スポーツ等、どんな話題でも面白く(ウンチク系じゃなく、きちんと自分のフィルターがあるからか)、時々ハットすることを言う方なので、雑談していいても、思わず、メモか録音したくなる人の一人です。
Desastreといえば、こないだ初めて行った美容院のカットがDesastreでした。かなり古い例えですけど、ザンギリあたまってこんなかんじ?な状態。(トホホ....)
by nas-asa | 2006-07-19 18:14 | 建築・デザイン

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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