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El Gran Actor


フェルナンド・フェルナン・ゴメス


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11月21日。
スペイン1どころか世界1の名優と思っていた
フェルナンド・フェルナン・ゴメス氏が亡くなりました。
享年86才ということで、天寿を全うされたと思う方もいるかもしれませんが、
しょっちゅうテレビや映画で拝見して、勝手に身近に感じていたので、
とても、とても残念です。



彼は、日本では、
ホセルイス・クエルダ監督「蝶の舌」
ビクトル・エリセ監督「ミツバチのささやき」
などのスペイン映画の他、
「汚れなき悪戯(スペイン映画)」のリメイクで、仏伊西合作の
ルイジ・コメンチーチ監督の「マルセリーノ・パーネ・ヴィーノ」での
演技が有名かもしれませんが、自身も20本以上の映画監督作品の他、
舞台の演出、執筆活動など、
びっくりするほど多彩な才能を発揮した偉才です。
そのくせ、なんだか急に身近に感じることができる不思議な存在。

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Ateo(無神論者)だった彼のお葬式は、マドリードの有名なスペイン劇場で
とりおこなわれ、棺はアナーキストの旗でおおわれていました。

El Periodico紙の追悼記事を読んでいたら、
アルモドバル監督も彼のファンで、めずらしくバルセロナが舞台になった
「オール・アバウト・マイ・マザー」に、フェルナン・ゴメス氏が出演してくれて
彼に対する敬意を直接伝えることができて嬉しかった....とのこと。

「オール・アバウト・マイ・マザー」では、
コロンブス像の近所の公園で、入院するペネロペ・クルスが、
アルツハイマーのため自分を覚えていないお父さん(フェルナン・ゴメス)と
最後のお別れをする場面が印象的でした。
この撮影現場の近所にある、
ガリシア・プルポ(タコ)が美味しいタパスバルにいくたびに、
「犬の散歩をさせるお父さんと、それを車中から黙って見送る娘...」
という、そのシーンを思い出します。

El Periodico 紙に掲載された、
上記のアルモドバル監督の追悼記事のタイトルは

Eterno mucho antes de morir

亡くなる前から、永遠の存在だった...
というような意味です。

本当に、彼に匹敵する監督兼俳優って考えると、
今はローレンス・オリビエとか...ぐらいしか思いつかないですね。


アルモドバル監督は、
同映画のときの彼の印象などのエピソードのあと、



En lo personal siempre lo recordaré,
y seguiré viendo sus peliculas.
Siempre.

私はずっと彼のことを覚えている。
そして、彼の映画を一生見続けるだろう。
 


と言う言葉で、原稿を結んでいました。
アルモドバル作品は、ほんとに好き嫌いがわかれて、
個人的には、面白い作品もたくさんある天才だと認めつつ、
すごく好きなタイプの監督ではないんですが、
この気持ちは全く同じです。(とっても僭越ながら)

とはいえ、私はまだフェルナン・ゴメス氏が監督した作品は、1、2本しか
見た事がないし(それもテレビで)これから少しづつ未知の作品を
見ていきたいです。

上記の「蝶の舌」と「ミツバチのささやき」は、両方とも子供の目を通した
スペイン市民戦争がテーマで、前者が市民戦争直前、
後者が直後を舞台背景にしていますね。
両方とも甲乙つけがたい、美しい映像。

スペイン語やスペイン文化を勉強する人たちにとっては、
「必修教材」というかんじの作品ですけれど、
いい映画をみたいというすべての方々にお薦めな作品。
日本語字幕つきのDVDも出回っているはずなので、
まだなかたは、ぜひどうぞ!

映画はほんとに人それぞれの好みなので、
無理なおしつけはしたくないですが、この2作品は
「見ないと損かもね!」
とつい言いたくなる数少ない作品です。

映画の中と同じように、
フェルナン・ゴメス氏は、反フランコの共和国支持者でした。

ごく最近、彼が「読書」について書いた El Pais紙の記事も印象的。

大雑把に要約すると、
「図書館にいくと、自分はもう時間がなくて限られた本しか読めないことを知る。
いくら読んでも、水をざるで掬うようなものだという気持ちになるが、
それでも本を読む楽しみは無限大である。
いつか自分が亡くなる時は、読書中にうたた寝するように、
胸の上に広げた本につつまれて永眠したい.....」
というようなことが書いてありました。

ドン・フェルナンド、とりあえず、ゆっくり本を読んでください。
DEP
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by nas-asa | 2007-11-28 02:35 | 映画・音楽 | Trackback | Comments(0)

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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