Victor Erice en la 2 de TVE


11月7日夜。テレビに出ていたのは・・・

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あの寡黙な映画監督、ビクトル・エリセ氏。

作品がテレビで放送されることがあっても、
ご本人が登場したのを見たのは初めてです。
なので、思わずテレビの前で固唾をのんでしまいました。
(正座はしてないけれど・・・笑)



金曜日の夜は、日本でいう名画劇場のような番組があり、
非常に久しぶりに「エル・スール(83年)」が放送されていました。

私は、大昔、東京でこの「エル・スール」を映画館で見て
突然、スペインに興味を持ったので、ほんとうに特別な作品です。
彼の作品の影響で、スペインのイメージが覆された外国人は
多いと思います。

というわけで、もちろんDVDも持っているし、
何度も見ています。

この金曜日は、TV3というカタルーニャのテレビ局が
前日から2晩連続で放送していた「セラリョンガ」の完結編が
放送されていて、こちらを主に見ていました。

セラリョンガは、17世紀に実在した、
カタルーニャのロビン・フットか石川五右衛門のような人。
大人向けのファンタジーで、若い役者さんたちも魅力的。
なかなか面白かったです。VIC大学とTV3のコラボ作品。
派手すぎなBGMがおしかったけれど。

で、いきなりチャンネルを「エル・スール」の
La 2という国営放送局に戻すと、
エリセさんのインタビューが始まったところでした。

新聞にも何にも書いてなかったから、驚きましたよ!

後になって、この名作劇場番組は監督をスタジオにまねいて
インタビューすることが多いことを思い出しましたが、
エリセさんは特別扱いなのか、古い街角のBAR
(たぶんお気に入りの)で録画されています。

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「エル・スール」は、諸事情で(たぶん予算の関係?)
撮影が途中で打ち切られてしまったことは
有名な話ですね。


できあがった映画は、主人公の女の子エストレーリャが
自殺したお父さんの故郷アンダルシアに
旅立つ準備をしているシーンで終わりですが、
「エル・スール(南)」というタイトルが示すように
南スペインでの撮影が不可欠だったそうです。


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同番組では、ほんとうはどういう作品にする予定だったかを
監督みずから資料を見せつつ、詳しく説明してくださいました。

それによると、
幻のアンダルシア・ロケでは、主人公は異母兄弟の弟に出会い、
お父さんにならった振り子の魔術をその子に伝授したり、
おじさんと色々話すことで、彼女自身の人生を生きる
(アイデンティティの確立というのか)
きっかけを掴むというストーリーでした。

その男の子役や、おじさん役もすでにキャスティングされていて、
当時のポラロイド写真なども見せてくれました。

おじさん役は、昨年なくなった「蝶の舌」や、「ミツバチのささやき」
等で有名な名優、フェルナンド・フェルナンゴメスだったそうです。


もう25年もたってしまったし、フェルナンゴメス氏も亡くなったりで、
今から純粋な続編をつくるのは難しいでしょうね。
幻の後半、見たかったです!
もちろん、監督にとって途中までで不満足でも
(私を含む多くの人たちの人生に影響を与えたほど)
十分に美しい作品なので、まだの方はぜひ見てください。
日本語字幕付きのDVDもあるはずです。



そういえば、エリセ監督の姿をお見かけするのは2年ぶり。
でも、あいかわらず髪の毛がふさふさで、
なんだか大昔のハリウッド映画「十戒」のモーゼみたい?
海をまっ二つに分って道をつくるあの指導者。
ヒゲのせいかな。

スペインでは、男女とも声がうるさめの人が多いので、
すごく小さい声でボソボソはなされる監督は
それだけで個性的に見えます。

画面の手前におかれた、
青い紙の書類ケースもなんだかいいかんじ。
この中に、「エル・スール」関係資料が入ってました。


バスク出身(サンセバスティアン)ながら、
マドリードをこよなく愛するエリセ氏。

以前(すごく幸運にも)仕事でおめにかかったとき、
「1年のなかでも秋のマドリードの空が一番好きだ」と
おっしゃっていたような。

そういえば「マルメロの陽光」が撮影されたのも秋でしたね?

あの作品の驚きの空の色は、全部自然に撮影されたもの。
特殊効果は一切なしだそうです。


・・・急に、マドリードにいって空を見上げたくなりました。




マドリードから600キロ以上離れたバルセロナの街角でも、
焼き栗の匂いがほどよく漂い、
クリスマスの電飾の準備が整ってきました。

★★★

で、このあと調べたら
このインタビューは昨年の再放送だったみたいですね。

La2のロゴが変わっていますけれど、Youtubeで同じ映像を
発見しました。
監督の静かな語り口とお気に入りカフェの雰囲気に
興味のある方はぜひご覧ください。



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Commented by Luisin at 2008-11-13 23:54 x
こんにちは。
エリセ監督のインタビュー映像いいですね。
カンヌ映画際の映像やイシアルとソンソレスのツーショット写真が
感動的でした。

秋は、エリセ監督の映画の色と重なります。
エル・スールやマルメロの陽光を見るのにぴったりの季節ですね。

マドリードの秋の空見てみたいです。

Commented by nas-asa at 2008-11-14 02:22
★Luisinさん、
この映像、1年以上前のものだったんですね。
Youtubeにあってビックリ。
マドリードの秋の空、いいですよ。パリのような
華やかさはないし、バルセロナとも雰囲気は違いますが、マドリードもとてもいい街だと思います。

by nas-asa | 2008-11-11 04:24 | 映画・音楽 | Trackback | Comments(2)

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


by nas-asa