Map of Sounds of Tokyo

惜しい。

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今、スペイン全土で大々的に公開中の映画が
Isabel Coixet(日本ではコイシェで定着してますが、
カタラン人なのでクシェットがちかい)
監督のこのポスターの作品。
菊地 凛子主演の東京を舞台にした作品で、
原作も同監督。



築地の魚市場で働く若い女性が、
裏の顔はプロの殺し屋で、
スペイン人のワイン業者がターゲットになり、
彼女は彼を好きになって・・・というお話。
バルセロナ出身のモテモテ?男性には、
セルジ・ロペス。(他にいなかったんでしょうか?
少なくとも日本人女性にモテるタイプではない)

バルセロナでも市内のバス停の大半、および、
いたるところで嫌っていうほど、このポスターを見かけます。

新聞の一面にも広告が載り、8/28日に公開されて
数日で10万人以上動員しているようです。
(あれだけ、新聞、テレビで広告打ってればね)



日本通を自認するクシェット監督。

日本女性のあいだでも、サラ・ポーリーが主演の

「死ぬ前にしたい10のこと」

「あなたになら言える秘密のこと」

の2作品は人気があり、私も気に入ってます。

音楽のセンスも良く、今回も東京のサウンドを
楽しみにしていた人も多かったはず。


しかし・・・
今回はカンヌでも記者向けの試写会でブーイングがおこったり、
当地の新聞の批評も
(バルセロナの制作サイドに近い媒体は除いて)
「ラスト・タンゴ・イン・パリをチープでキッチュにしたもの」
といった酷評が多いし、
トレイラーをちらっと見ただけで、
濃厚なラブシーンのときにみえる
セルジの太った体と胸毛にひいてしまいそうに・・・。

観る気なしやま・・・(by Bibibi)
といってる人も多かったです。


同じ建物に住んでるご近所のおじさん(超リベラル)も、
「観にいってガッカリ。いかない方がいいよ!」
といってましたが、
やっぱり東京が舞台なら景色を見るだけでもいいし
ということで、映画館に足を運びました。


感想は・・・

映画館を出てすぐ、美味しい寿司が食べたくなる
というよりも、久々に強い酒が飲みたくなりました(笑)
そんなアホな〜!!の連続で消化不良。
特に、ラストがすばらしい(強い皮肉)

率直にいえば、
冒頭に女体盛りが出てくることは知ってたけれど、
それは、まあ100歩譲って許すとして
東京のSoundってこれのこと〜〜!!!と愕然。


しかも、セルジの英語がへたくそで、
ベテラン俳優のはずなのに、そのせいかぎこちない。
時々暗記して話している日本語のセリフのほうが
まだ良かったような。

菊池さん演じるRyuのほうも、
彼女の背景はまったくわからず
いきなり英語を話すという設定なので、
これなら思い切ってスペイン語にしちゃったほうが
まだ良かったのかな?
とかいろいろ、よけいなことを考えてしまいました。

菊池さんは、堂々としてるし
ほんとに体当たり演技でがんばってました。


何よりもこの映画を観て、バルセロナにいきたいとか、
バルセロナの男性って、なかなかいいんじゃ・・・なんて
思う日本人女性はあんまり(ほとんど?)いないんでは?
という気がして残念でした。

たぶん、セルジは、
イサベルさんの好みのタイプ(配役として)
なんでしょうね。

(スペイン語圏では、ガエル・ガルシア・ベルナウ
あたりが日本人女性にモテそうです。
M.スコセッシ監督が、
遠藤周作原作の「沈黙」の映画を準備中で、
それにはガエルがスペイン人神父役で
出演か?という噂)



イサベル監督の同作品と比べると、
残念なことに、日本が好きといいつつ、
基本的にバカにしてるかんじがいなめない
ソフィア・コッポラ監督の作品

「Lost in translation」

が、いきなり、洗練されてるような
気がしてきました。


同作品のことを、

Lost in the map of Tokyo

って、Lost in translation 
をもじって批評している人も多いようです。


イサベルさんは、この脚本に自信があるのか、
今、ちょっと日本ブームだからかなのか、
原作のほうも、
大手のトゥスケッツ社(村上春樹のスペイン語版版元)
から出版されました(ため息)



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これからは、築地フィッシュ・マーケット・ガールが、
芸者より話題になるんでしょうか?


日本にたいしてどんな解釈をしようと、
個人の表現の自由だからいいんですが、
イサベルさんの勘違いは
なんかとてもつもなく大きなチャンスを
逃したような気がします。


では、外国人には、そもそも
日本人や日本との交流をきちんと表現したり、
日本文化についてちゃんと描けないのか?


というと、そんなことはないと思います。

(基本的に、まったく背景のちがう世界から来た人が、
異文化を描くのは、簡単なことじゃないとしても)


映画館を出たあと、
グラシアの和食レストランNOMO(イサベル監督も
よく来るそうです)にいって、軽く食事。

私たちが同作品の映画館のちらしをもっていたので、
カマレロ(ウェイター)のカタラン人青年も
「どうだった?」ときいてきました。

「残念だった。特にセルジが恥ずかしいかも」
といったところ、

その青年もまったく同感だったらしく

「監督が、ここの常連だから
大きな声ではいえないけれど、
あれはひどい!
Lost・・・もよくないけれど、そのレベルにも
いってないし、セルジはほんと恥ずかしい」

と、熱く語ってました。
(おかげで、梅酒2杯ごちそうに)

個人的には、今、日本で渦中になってる、
押尾さんが出てきて、
英語ペラペラだったのがおもしろかったです。
(アメリカ〜ンな発音)

じっと我慢して、
シーンと鑑賞している人が多かった館内で、
つい「あの人、あの人!」と、
耳打ちしてしまいました。


日本での公開は、
この件だけで難しいんでしょうか?
でも、はじめから
日本の観客の共感は得られにくい作品かも。


結論;

イサベル監督の次作に期待したいです。

ほんとに和食が大好きで、日本語も勉強してるらしいし、
村上さんの講演会のモデレーターもされてました。
でも、スノッブに日本通のフリをするのは
まだやめてもらいたいです。
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Commented by kabukimama at 2009-09-07 03:14
こんにちは。
浅倉の批評のほうが映画よりず~っと素晴らしいです。
私もすべてにおいて同感です。
評判はよくないけど、見ないことには評価できないので、月曜日の5ユーロの日に見に行きました。
セルジ・ロペスとラストが最悪でしたね。
本当はとてもいい俳優さんなのに・・・。
自殺した女の子のお父さんとその部下の人、どう見てもヤクザさんでしたね。
トラン・アン・ユン監督の映画「ノルウェイの森」期待しましょう。
Commented by nas-asa at 2009-09-07 15:57
★Kabikimamaさま
セルジは、いい俳優さんかもしれませんが、
ミスキャストでしたね(お前にいわれたくないって
いわれそうですが)あんな風にバルセロナをだすために
市役所や政府がお金だしてるってあぜんかも。
メディアプロだいじょうぶかなあ。トラン・アン・ユン監督
は好きです。こちらは楽しみですね。
Commented by cruasan at 2009-09-12 23:06 x
こんにちは。
ワイン屋さんの、あの青年が話題の押尾さんだったとは知りませんでした(驚)。今年の夏は押尾さんとのりピーの話題で持ちきりでしたから。
映画自体はがっかりでしたが、菊池さんの演技は光っていたような気がします。とっても魅力的でした。
Commented by nas-asa at 2009-09-13 16:21
★Cruasanさん、
初コメントありがとうございます。
ほんとに押尾さんも英語もうまいし、チャンスもあったはずなのに残念ですよね。
ハリウッドならイメージじゃなくて、芸があれば
過去があっても生き残れるかもしれませんが。
菊池さんはなんだかんだいって要注目な女優さんですから、
「ノルウェイの森」が楽しみです。
by nas-asa | 2009-09-04 17:15 | 映画・音楽 | Trackback | Comments(4)

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


by nas-asa