Erleuchtung garantiert

日本人が観てもおもしろい。

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イサベル・クシェット監督の新作に
軽いショックを受けたせいか(?)
不思議の国ニッポンを舞台にした
「日本人が観ても面白い」
外国人監督の作品を紹介したくなりました。

西洋人が日本人俳優をつかったり、
日本でロケしたりする映画は
それだけでかなりなチャレンジ。
その結果、残念ながら、
面白くない(特に日本人にとっては)
作品になる確率が高い・・・。

そんななかでも、
いい作品も少なからずあるようです。





で、つい懐かしくなってFNAC(当地のTsutaya)
で即、購入してしまったのが、
上の作品。ドイツの女性監督、Doris DORRIEの
Erleuchtung garantiertスペイン語だとSabiduría Garantizada
(直訳すると、信頼できる知恵。悟りのことでしょうか?)

日本では、Mon-Zen というタイトル。
Mon-Zen



上の写真は、石川県のお寺で修行し、
ほんものの曹洞宗の僧と対峙する主人公。


といっても、この作品は、
ドイツの中年兄弟が、
それぞれ別の事情でミッドライフクライシスに
直面し、ふたりで東京へ旅行。
そのあと、能登半島の禅寺にいって
修行する珍道中を描いた「コメディー」です。

素人が撮ったようなビデオ画像が多数導入され、
はじめから軽い映画であることが強調されていたり、
進行がぎくしゃくしているところもありますが、
いやあ、非常に深い作品。脱帽しました。


観ているうちに、
何も知らない外国人の迷走ぶりに爆笑しつつ、
お寺で修行する彼らをいつのまにか応援してしまう
日本人観客も多いと思います。

この配役が、もし若者だったら、
普通のロードムービーの一種になりがちだけれど、
おじさん二人っていうのがまた憎い。


人気があるのか、各国でいろんなデザインのDVDが
発売されているようです。

こちらは、ドイツ版。

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温泉でリラックスする兄弟。

映画を見終わってからこの写真をみると、
しみじみ、この時の二人の気持ちが伝わってきます。


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同作品では、カラスの声が重要なテーマ。

東京の街では、皆忙しそうで、
携帯をかけまくっている人たちばかり。
カラスの声も石川県のお寺の上空とは別物。


東京で遊びすぎた二人は、
一文無しになってしまうんですが、
そんなわけない・・・と思いつつ、
彼らの悪戦苦闘ぶりが、すごく笑えます。

ただし、
彼らがATMでお金が引き落とせないのは
日本語がわからないだけじゃなくて、
日本で発行されたカードではないから。

最近は、海外のカードでキャッシングできる場所が
(郵便局とか)増えたけれど、一昔前は、
これで最初にショックを受ける外国人って多いんですよ!

たいていの国では、どんな田舎の街にいっても、
海外のカードで簡単にキャッシングできるので。


といった、監督の皮肉も多少あるものの、
暮らしていると当たり前過ぎで気がつかない
日本の不思議さ、たいへんさが伝わってきます。


特に、自分が絶対的少数派になる体験というのが
とりあえず誰にとってもショックなので、
この映画でも、
「まるで、別の惑星にきたような気持ち・・・」
とつぶやく主人公。

出張で東京にいっって
こういう感覚を持つ西洋人は多いです。
それが日本なんだからしょうがない、とはいえ、
何事も逆の立場にならないとわからないかも。




イサベル監督の作品同様、
この映画にもラーメンやそばのシーンが
出てきます。欧州にはない食べ物(と食べ方)
だから、どうしてもそこにはまるんでしょうね。

できれば、寿司と麺類だけじゃなく、
美味しいとんかつ、洋食、
すごいレベルの高いイタリアンなども
写す監督がいてもいいような。
デパ地下のショーケースも!!

「せっかく日本にきて、
美味しい和食があるから、
洋食食べるのはもったいない!」
とあせって、
ハナから聞く耳もたない欧州人
(東京でおすすめの店教えると)
が多くて、最近ちょっと残念です。

当地の人たちは、
魚や貝が大好きなので、
どんどん和食を食べてくれるのは
嬉しいですが。

こちらで、まずいスパゲティーに
遭遇するたびに(イタリア人の店でもね)
ああ〜〜、日本のパスタ、すばらしい!!
と思います。


いずれにしても、同作品は
かねがね、


「日本や東洋をやたらに、
風水だとか禅という切り口だけで
分析するのはやめてもらいたい!」



と思っている日本の方たちにもおすすめ。




風水や禅が好きで、
東洋哲学のエキスパートのふりをしていた
弟のほうが、実は日本で・・・・!!(秘密)





個人的には、毎日厳しい修行をつづける
曹洞宗の上の写真の住職(事務長?)
のお顔と表情がすばらしかったです。

僧侶といっても、
都会だとはっきりいって
「袈裟着てベンツ」
みたいな生臭系?も少なくないので、
心から新鮮でした。

スペイン語版のDVDは、
仏像がビデオを撮ってるような
変なイラストのものだったのが、
最近、しぶいデザインに変更されてました。

私がFNACで13ユーロで買ったのは
石庭のアップの写真。




ほんとに映画って、
予算のかかり方や高いキャスティング
だけで決まるわけじゃないんだなあ・・・
と、しみじみ思った夏の終わりでした。



次回も、日本人、外国人関係なく楽しめる
日本を舞台にした映画についてご紹介したいと思います。
(さがせばあるもんですね)



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by nas-asa | 2009-09-06 18:41 | 映画・音楽 | Trackback | Comments(0)

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


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