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Secret Images

ピカソと春画。


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ピカソ美術館で2010年2月まで開催中の
刺激的な展覧会にいってきました。

題して、
秘められたイメージ「ピカソと春画」

市営美術館なのに大胆な展示。
かなり強烈です。
もちろん、チケット売り場には、
R18とは書いてないものの、
注意!! 強い性的な描写あり・・・
との張り紙が。





ジャポニズムや浮世絵、春画が
19世紀末から20世紀に欧州で大流行し、
たくさんのアーティストに影響を与えたことは
広く知られていますが、
ピカソがこんなに浮世絵を収集し、
さらにそれをマネて
自分なりの表現を追求していたことを知っている人は、
ピカソとゆかりの深いバルセロナや
スペインでも少なかったはず。

もとになった春画と、
それをマネして描いたピカソの作品が並んでいる様子は、
軽く金縛りになりそうなかんじ!?

しかし、さすが天才ピカソ。
構図やモチーフはそっくりでも
できあがった作品は、とことんピカソの作品になってるところが
これまた圧倒的!!
毒をもって毒を制するじゃないけれど、浮世絵師たちと互角か
それ以上の強いパワーを持っていたことがよくわかります。

晩年まで女好きで有名だったピカソ。
それも生命力の賜物でしょうか。


そもそも、
春画がこんなバ〜ンと公共の美術館の壁に
展示されているのこと自体が不思議。


「春画とは秘められたもの・・・」
などなど、いろいろ説明書きはあったものの
性的描写にうるさい国だったら無理な展示です。
日本でも難しいのでは??



個人的におもしろかったのは、
そんな浮世絵のなかに出てくる不思議な動物たち。
きちんと着物を着たサカナとか、やけに可笑しい。

北斎の「蛸と海女」は、ビクトル・ユゴーなどにもインパクトを
与えたようですが、ピカソがマネして描いたのものは
タコじゃなくて、イカになってました(笑)

同展は、誰と見にいくかも微妙かもしれません。

あんまり親しくない男女だと、
どんな感想をいってもセクハラっぽくなる危険あり。


会場には、一人できて、じ〜っと「ある一点だけ」
凝視している暗い男性がいて、ちょっと怖かったです。


去年のパリ国立図書館所蔵浮世絵展@カサミラも
すごかったけれど、このピカソと春画展も
何年も忘れられないほどのインパクトあり。

日本人にも、とても興味深いです。

最後の部屋には、着物を着た晩年のピカソの写真(巨大)と、

「西洋文明は、世界のほんの一端にすぎない。
東洋にまつわるすべてのものから触発される」

というコメントが壁にかかれていました。


そうそう、日本人女優第一号といわれている
川上貞奴さんって、パリのあとバルセロナ万博のころ
当地にも滞在していたそうです。

ピカソが描いた踊る彼女の肖像は、
かなり漫画チック。

当時の貴重な写真もありました。


ロダンにモデルになってほしいといわれ、
忙しいと断った(ロダンのことを知らなかったせいもある)
川上貞奴。ピカソや、私の好きな
ラモン・カサスのモデルにはなったようです。

そのカサスの肖像画も会場に飾ってあり、
宮沢りえさんみたいにきれいでした。

また、カサスの描き方もす、すばらしい!


日本人が必要以上にエロい?
と誤解されるのはこまるけれど、
春画ってリベラルで大胆ですごいですね。


こういうものを楽しむのは、
ゆとりのある有閑階級中心だったとしても、
江戸時代の文化、浮世絵師たちの実力、
おそるべしです。
by nas-asa | 2009-11-24 00:16 | 映画・音楽

浅倉協子 & Jaume NASPLE:バルセロナと東京で編集、翻訳、取材、執筆中。好きなもの:建築・デザイン、映画、音楽、夜でも青いバルセロナの空、日本の喫茶店、居酒屋。今食べたいもの:バスクのピンチョス。


by nas-asa